
白内障手術の危険性
手術の危険性
予想できない危険や手術後の合併所など、危険性を把握することが大切。
白内障の手術は、医学の進歩により、スピーディで安全になってきていますが、それでも危険がまったくないわけではありません。もちろん、白内障だけでなく、どんな手術であっても100%成功が保証されているものなどありません。むしろ、白内障の場合、10分とか15分で済む手術だからと、安易に考えることの方が危険です。
しかし、白内障でいえば、手術をすることで、また昔のようによく見えるようになるという恩恵がありますし、それを望んで手術を受けるわけですので、手術に伴う危険性をしっかりと把握して、手遅れにならないうちに手術を受けるのが理想といえます。白内障の手術の危険性として考えられることは、麻酔薬によるショックや手術中の出血、角膜の損傷、細菌による感染などです。これらの中には、医師によって事前に予想できないケースもありますし、もちろん医療ミスによるものもあります。ただし、患者側の精神的な部分もかなり影響する手術だともいえますので、手術のことや手術後の生活のことなどをあまりクヨクヨ考えずに、担当のお医者さんを信頼することが大切です。
また、手術の前日はゆっくり入浴したり、緑の多い公園などをのんびりと散歩したり、家族で楽しく食事をしたりなど、リラックスするような工夫も心がけるといいでしょう。いずれにせよ、手術にあたり、お医者さんから事前に万が一のトラブルや、手術後に起こる合併症などの説明がありますので、できれば、手術を受ける本人だけでなく、家族の方にも一緒に説明を聞いてもらった方が安心だといえます。
出血
眼底出血を起こせば視力の回復が望めない場合もある。
白内障の手術の危険性として「出血」があげられます。軽いものならば、眼球の表面や傷口で出血し、手術後に眼が赤くなるものの、視力にはほとんど影響はありません。赤みも2週間ほどで消えます。傷口での出血が眼球に入った場合は、手術後の数日間は視力の回復に影響します。ただし、時間の経過とともに自然と回復し、その後の視力にもほとんど影響はありません。
しかし、手術中に眼底出血が起こった場合が問題となります。手術の最中に眼球内で出血をすると中々止血することが難しく、出血の度合が多ければ視力の回復が望めない場合も出てきます。これはごく稀なケースなのですが、患者さんの血圧や動脈硬化、緑内障などと関係があり、手術中の血圧が上がれば、それだけ出血の危険性も高くなります。
この点からも、手術にはリラックスして臨むことが大切になりますが、中々リラックスといっても難しいかも知れません。できれば、手術の当日にパートナーやお子様など、ご家族が付き添ってあげることで、ご本人の負担も軽くなることでしょう。
また、「水晶体超音波乳化術」の場合、麻酔や手術中の痛みはほとんどありませんが、万が一、痛みを感じたり、不快な感じがあった場合には、すぐに終わるからなどと我慢しないことです。我慢をすることで血圧が上げることもあり危険ですので、「痛みます」「苦しい」「トイレに行きたい」など、遠慮をせずにお医者さんに伝えることが大事です。
水晶体嚢の損傷
状況により水晶体の役目をする人工レンズが入れられないケースもある。
白内障手術のほとんどは、水晶体をすべて取り除くのではなく、水晶体を包んでいる「水晶体嚢」と呼ばれる袋を残し、その袋の中に「眼内レンズ」と呼ばれる人工レンズを入れます。この手術を「眼内レンズ挿入術」といいます。現在、日本ではこの眼内レンズ挿入術が年間60万件行われており、ごく稀とはいえ1万人に1人の確率で死亡しています。 原因は、心筋梗塞や脳出血、お年寄りの方ですと、麻酔や抗生物質によるショックで死亡するケースもあります。
眼内レンズは樹脂でできていますので、拒絶反応は他の移植よりも少ないものの、強い炎症が起こる場合もありますし、水晶体嚢が破けたりして、やむなく眼内レンズを取り出す人は500人に1人の割合だと言われています。
また、水晶体は「チン氏帯」で支えられていますが、このチン氏帯が弱いと、眼内レンズが安定しないため、レンズの挿入そのものを中止するケースもあります。さらに、白内障がかなり進行してしまった場合、水晶体がガチガチに硬くなっていたり、逆に水晶体の中身が液化していることもあります。
これらが原因して、水晶体嚢がよい形で残せない場合や、水晶体嚢そのものが痛んでいる場合には、水晶体嚢の手入れや補強なども必要となります。その際には、その日に手術が終わらずに、後日また手術をしたり、中には視力回復に影響することもあります。万が一、眼内レンズが挿入できない場合は、手術後にコンタクトレンズを使用するか、眼内レンズを縫いつける手術方法もあります。
角膜の損傷
角膜の傷やダメージの度合によっては、別の手術が必要になることも。
白内障の手術では、たとえ小さいとはいえ、濁った水晶体を取り除き、人工レンズを入れるためには、眼球に傷をつけなければ行えませんので、傷の大きさは別として角膜に傷ができるのは仕方のないことです。とは言え、医療機器や技術の進歩により、最小限についてしまう傷が小さくなったことや、本来、人間に備わっている自然治癒力により、傷がついたとはいえ、ある程度までは自然と回復します。ただし、傷の大きさやダメージによっては、角膜が濁ってしまい、あらたに角膜の移植手術を受けなければならないケースも出てきます。
また、角膜がこのようなダメージを受けると、眼球の形が変化して手術の後に乱視になることもあります。白内障の手術は、小さくとも角膜に傷をつけなければ現状、行うことはできませんので、乱視の問題は避けられないといえますが、軽いものならば視力には影響がありません。
ただし、手術後の乱視があまりに強い場合は、メガネで補う必要があります。さらに、メガネでの補うことが難しい場合には、乱視矯正の手術を行わなければならない可能性もあります。医療がさらに進歩し、角膜に無傷で白内障の手術ができる日が、いずれやって来る可能性もなきにしもあらずですが、今のところは角膜の損傷は仕方のないことだといえます。ただし、角膜が損傷した場合の回復力は、手術前にある程度わかりますので、お医者さんに相談してみましょう。
感染症
手術後の感染症を防ぐには、手術後の点眼や内服薬などの自己管理が大切。
感染症の発生は、日本では2,000件に1件だと言われています。白内障の手術による感染症は、手術中や手術の後に、眼の中に細菌などが入り込むことで起こります。眼の中に入った細菌は、繁殖して眼球を傷つけます。そのために、視力の回復に影響を与え、ときには高度の視力障害を残すケースもあります。さまざまな細菌が、眼の周りの皮膚や結膜に住みつき悪さをして感染症になりますが、感染症の心配は手術中ばかりでなく、手術後にも危険は存在します。
もちろん、手術の際には、抗生物質の点滴や内服、点眼といった、感染症を未然に防ぐための処置もされていますし、手術後も同じことはいえます。しかし、眼の中は薬の効果も薄いので、糖尿病の基礎疾患や体力が低下している人は特に注意が必要です。
また、特に日帰り手術をされた人に共通していえるのは、手術後の点眼や内服薬など、お医者さんからの指示を守ることも手術後の感染症を防ぐのには重要です。これらの自己管理をおろそかにすれば、それだけ感染の危険性は高まります。感染症になれば、点滴注射や再手術が必要となるケースもあり、中には発見が遅れて失明といった事態におちいることもありますので、くれぐれも注意をしましょう。


